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オトモカリン製作記 其の弐


とある大きな都市に『オッタマケーキから撃龍槍まで』――要するに幅広く商品を扱ってますよというアピールなのだが――を謳い文句にしている商会がある。

屋号をカメリア商会という。

僕は、カメリア商会内にある「ツバキ工房」という部署に従業員兼ハンターとして、つい先日放り込まれた。ツバキ工房は独自に商品を企画開発する部署で、モンスターの素材を使って新しい製品を作ることがコンセプトになっている。
従業員は責任者兼凄腕ハンターのツバキさん、試作品作りの職人のゲンさん、そして従業員兼優良ハンターのカリンさんと、新人従業員兼十把一絡げハンターの僕ことポプランの四人である。

ちなみに、従業員がハンターを兼ねていることからも察しがつくと思うが、試作に必要なモンスターの素材は全部自分達で調達することになっている。ギルドやハンター達から買い付けると高くつくので、少しでも経費を節減するために僕らがギルドの仕事を請け負う。こうすれば、報酬は手に入るし素材は手に入るしで一石二鳥だからだ。

さて、今日は新しい試作品の素材調達のためにフルフルを狩りに来たのだが――僕は散々な目に合うことになった。

「てぇ~い!」
声が間延びしているせいか、いまいち迫力に欠ける掛け声と共に、カリンさんが「近衛隊機械鎚【撃鉄】」を大きく振りかぶって勢いよくフルフルの頭に叩き込む。

ギョエエエエエエーーー!!

耳を塞ぎたくなるようなフルフルの苦鳴が周囲に響き渡る――フルちゃんの頭って男の人のオチ○チ○云々言っていたカリンさんの言葉を思い出し、僕は自分の股間を引っ叩かれたような剣呑極まりないシンパシーを覚え、思わず少しだけ前かがみになってしまった。
そんな様子が腰が引けてるように映ったのだろう。背後から、
「臆したかエロポップ!」
とツバキさんの叱咤が飛んで来た。

「誤解ですってば!」
僕はそう言うと、フルフルの左後方から斬りかかる。得物は片手剣のゴールドイクリプス。炎を嫌うフルフルには有効な武器である。ちなみに防具はコンガXの一式をつけている。

ゴールドイクリプスがフルフルの足を捕らえる度、刃から炎が噴出して真珠色の皮膚を焼く。その攻撃を受けたフルフルが軽くよたついた。それを見た僕は勢いづいて、
「オラオラオラオラ~!」
と叫びながら、ゴールドイクリプスをやたらめったらと振り回す。

だが、これが良くなかった。

調子こいて斬りまくるのに夢中になり、
「ポプランくーん、フルちゃんほえるよー」
というカリンさんの声が聞こえなかったのだ。

ホアアアアアアアアアアアアッッッーーーー!!

フルフルのバインドボイスが周辺の空気を震撼させ、僕の耳をなぶった。剣を振るう手が止まり、巨大な手に掴まれたかのごとく体が微動だにしなくなる。一方のカリンさんは高級耳栓のスキルがつく装備なので平然としているし、ツバキさんはバインドボイスの効果が及ぶ範囲の外へすでに逃げている。もろに喰らったお間抜けは僕一人だった。
意識ははっきりとしているのに、ショックで全身の筋肉が硬直して動かなくなる状態に陥りながら、僕はヤバいよヤバいよーと胸中で呟く。

だが次の瞬間、臀部に強烈な痛みが生じて、
「ッアアアーーーー!」
と僕は叫んでしまう。それと同時に硬直が解けた。何事かと振り向くと、クイックシャフトのバレルをこちらへ向けたツバキさんが見えた。どうやら硬直を解くため故意に僕の尻へ弾を撃ち込んだらしい。

『もっと欲しいか?』

そう言わんばかりの嗜虐的な笑みをツバキさんが浮かべている。このヒトってばサドだ絶対にサドだ――僕はそう胸中で叫ぶ。更に尻へ弾丸を撃ち込まれてはかなわないので、慌てて引きつった笑みを浮かべつつ、
「ぐ、ぐっじょぶです、ツバキさん!」
と言って親指を立てて、体が動くことを殊更にアピールしてみせた。その仕草を見たツバキさんが舌打ちしたように見えたのだが、それは見間違いだと僕は自分に言い聞かせる。

そうこうしている内にも咆哮を終えたフルフルが体を回転させ、尻尾による引っ叩き攻撃に出た。
「そんな短い尻尾の攻撃なんぞ当たらん!」
僕は右側より迫り来るフルフルの尻尾を華麗に回転回避しようとした。だが体を傾けた瞬間、不幸なことに、先ほど弾丸を受けた尻がキュンと痛んで動きが止まってしまう。
「はぶっ!」
無防備な脇腹へ尻尾の一撃を受け、ゴロゴロと実に無様に転がってしまう。更に僕に取って不幸だったのは、転がった先がカリンさんの攻撃範囲内であることと、すでに彼女がハンマーの振り上げモーションに入っていたことであろう。

「え? ちょっ!?」
顔を上げた僕の目に映ったのは、風切り音をさせながら迫ってくる近衛隊機械鎚の打撃面であった。
「ポプランくん、ごめ~ん!」
カリンさんの声が耳に届く。
「ハンマーは急にとまれないんだよ~」

次の刹那、僕は体が折れ曲がる程の衝撃を腹部に受け、
「ぴぃたごぉらぁぁ!」
と言葉にならない悲鳴を上げた。同時に両足が地面から離れて体が宙に舞う。放物線を描きながら空中遊泳した僕は、ツバキさんのすぐ脇の地面に仰向けで落ちた。

「ぐうっっ!」
気が遠くなるような痛みが全身を駆け巡る。手足を動かそうとするものの、他人の体であるかの如くまったく動かない。

「やれやれ、だな」
大の字になったままの僕を見下ろしながら、ツバキさんがため息をついた。そしておもむろにクイックシャフトの銃口をこちらへ向ける。
――ああ僕、役立たずだから折檻されちゃうのかな。でもこんな至近距離で撃たれたら、防具つけてるとは言っても大変なことになるんじゃないのかな。最悪死んじゃったりするんじゃ――自分へ向けられる銃口を目にしながらそんなことを考え、
「ご、ごめんなさい。撃たないで……すぐに戦線復帰しますから……」
と、落下した痛みも相まって、思わず半泣きで哀願してしまう。

「その心意気やよし」
僕の言葉にツバキさんはニヤリとする。だがその直後、真顔になって、
「だが断る」
と突っぱねると引き金を絞った。

「わああああーーー!」
パンッという乾いた音がすると同時に腹部へ衝撃を感じ、僕は絶叫する――撃った! この人撃った!
「騒ぐな。男の子だろ? まあ、それだけ絶叫する元気があるなら心配はいらないな」
「ひどい……ひどいですよツバキさん……末代まで祟ってやるぅ」
「……回復弾を使ったのだが?」
「へ?」
ツバキさんの言葉に僕は呆けたような返事をした。撃たれた辺りをまさぐってみるが、血も出ていなければ痛みもない。それどころか、弾が当たった箇所を中心にじんわりと温かいものが広がっている。

「足りなければもっと撃ち込んで―ー」
「いえ大丈夫です! どう見ても体力全快です! 本当にありがとうございました!」
撃ちたくて仕方がないという表情のツバキさんに対して、僕は必死に言い募る。なぜ回復薬でなくて回復弾なのかを五分針程問い詰めたかったが、そんなことをすると何かよくないことが起きそうなので言うのは止めておいた。

「そうか。それは残……いや、良かった」
そう言いながら、ツバキさんは弾丸を火炎弾に切り替える。
「尻尾、ハンマー振り上げ、といい感じにコンボが入ったからな。無理は良くない。とりあえず休んでいたまえ」
言い終えると再びポーチから煙草を取り出し、火を着けて実に美味そうに一服する。そして、咥え煙草のままフルフルの方へと近付いていった。

僕はよろよろと立ち上がり歩き出した。ツバキさん達が戦っているところから距離を取り、膝を抱えて座った。それから、せめて二人の勇姿を見守ろうとポーチから双眼鏡を取り出して覗いた。

カリンさんのおっぱいが見えた。

――おっぱいが三回上下している。ということはだ、あれはハンマーの定番攻撃、
通称「縦振りセット」を行っている最中だな。容易に推測できるね。
おっと、お次はおっぱいが回転してる。これは誰がみても、回転攻撃――。

と、ここまで来て、僕はハッとする。
「おっぱいしか見てないじゃん」
流石に情けなくなり、慌てて双眼鏡の倍率を下げる。見える範囲が広くなり、ツバキさんとフルフルが対峙している姿が目に映った。
ツバキさんは相変わらず咥え煙草のままだった。ろくに狙いも定めずにトリガーを引いているが、弾は全てフルフルの頭部に命中していた。それだけでも十分に驚きだが、リロードの仕方を見て更に僕は度肝を抜かれた。

火炎弾を撃ち尽くすのと同時にツバキさんは回転回避を行う。そして、その回転回避を行ってる最中に薬莢の排出と弾丸の再装填をするという離れ技をやってのけている。ナルガX装備のスキルで回避距離が伸びているとは言え、おいそれと出来る芸当ではない。

ツバキさんはフルフルを中心に、円を描くようにして発砲と回避を繰り返す。フルフルはなす術もなく、一方的にクイックシャフトから撃ち出される火炎弾に弄られ、あまつさえ合間合間にカリンさんのハンマーも入れられる。時折、発電攻撃やブレスを放つが、二人の前ではすべてが空回りだった。

程なく、抵抗空しくフルフルは倒れた。僕、いらない子なんじゃないかな――そんなことを考えつつ双眼鏡をしまい、二人のもとへと向かった。

「お疲れさまです!」
と、二人の傍へ着いた僕が言うと、
「うむ」
とツバキさんは頷き、ポーチから煙草を取り出して火をつけた。

「ポプランくん、おつかれ~」
額に汗を光らせながら、カリンさんが近づいてくる――ひとつも働いてないし、おっぱいばっかり見てましたサーセン、などと僕は胸中で呟きつつ、
「お疲れです!」
と、さも自分もちゃんと働いたかのような顔で返しておいた。

「ごめんね。吹っ飛ばしちゃって」
申し訳なさそうにカリンさんが言うが、僕は「イエイエ。ダイジョブナノデスヨ-」と抑揚のまったくない声で返事をしながら、首を横に振った。ハンマーが当たった場所が洒落にならないくらい痛むが、そこはガマンの子である。

「さて二人とも」
一服を終えたツバキさんが言った。
「剥ぎ取るぞ。今回必要なのは皮だけだ。全部剥ぎ取ってくれ」
「でも、それは規約違反では?」
僕はそうツバキさんに訊ねた。狩ったモンスターから剥ぎ取ってもよい素材の分量に関しては、ギルドの規定があるのでそれを無視してはならないのだ。例えば、皮なら全体の何割程度、二つある臓器なら一つだけ等々――何十条にも渡る実に細かい取り決めがなされているのである。

「心配無用。他の部位には一切手をつけない条件で話を通してある」
「へえ。そんな条件通るんですか。知らなかった」
「普通はまず通らない。だが、そこはまあ、色々とツテがあってね」
そう言ってツバキさんは薄く笑った。整った顔立ちでそんな笑い方をされると、薄ら寒いものを感じてしまう。どんなツテなのか個人的に大いに興味をそそられるところではあるが、聞くと何かよくないことが起きそうなので止めておいた。
「では諸君」
ツバキさんが、腰に下げていた剥ぎ取り用のナイフを手にする。
「奮って剥ぎ取ろう」
その言葉を合図に、僕らは剥ぎ取りにかかった。

― 続く ―




【あとがき】

という訳で「オトモカリン製作記」其の弐でございます。
この作品を書いている時にモンハンを始めた頃のことを思い出しました。最初の頃は良くフルフルの咆哮を
くらっていたな~。それと地面を這ってくる電気ブレス。ほぼ漏れなく当たってビクンビクンしてましたねw

そんな目にあわされた飛竜ではありますが、個人的には好きなモンスターです。何だか愛嬌があるんです
よねー。トライではリストラされて残念なんですけど。(ネブラはあんまり好みじゃないw)

MHP3が出るとしたら、是非復活して欲しいものです。では、また。

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非公開コメント

No title

え、エロくない…だとッ!!?

いや失礼、取り乱しました。
新作心待ちにしておりましたともさ。
確かにフルフルは緊急回避ができないので、動きなどは緩慢とはいえ初心者のころはフルボッコにされてましたねー…。
でもG級に初めて入った時に御世話になったのがフルフルZ装備なんです。
高級耳栓付くし、頑張れば切れ味+1だって…。
けっこう長い間御世話になった記憶があります。

次の作品も心待ちにさせて頂きます。

cozame様へ

コメントありがとうございます。励みになります。

さて。とある奥義の理に、

もし縮めんと欲すればまずは伸ばすべし
もし弱めんと欲すればまずは強めるべし
もし奪わんと欲すればまずは与えるべし
而して
もし開かんと欲すれば、まずは蓋をすべし

というものがあります。「尺蠖(せっかく)の屈するは伸びんがため」ということで、大きく飛躍するためには一度屈むことも必要です。つまりエロをよりエロくするためにはエロくないシーンが必要な訳で……とか何とか言い訳してみるテストw

エロくなくてサーセンw 其の参では若干お色気が入りますので、ご容赦を。

では、また。

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キリロクブ

Author:キリロクブ

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