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ダス・フェアローレネ・パラディース7

数日後の夜――ジェイはバズと馴染みの酒場にいた。
「いやあ、変態資産家様、至極ご満悦だったぜ」
 エール酒を飲みながら、バズが上機嫌で話す。
「最初の提示額より多く礼金くれちゃったぜぇ……っておい、なんだか浮かねえ顔してるじゃねえか?」
「別に」
 短く、ジェイは応じた。
「いい仕事してますねーって誉めてたぜ。さすが竜ならしのジェイだな」
「いや……失敗だ」
「はあ? そんなことはねえだろう? 変態資産家様、いい具合に使えるって言ってたぜ? まあ、どう使ってるのかは知らんが」
「情が混じった」
「訳が分かんねえ」
 バズはエール酒を一気に飲み干した。
 ――連れて行かれるレイアを目にした時、ジェイは胸を締め付けられるような思いを感じた。それは紛れもなく、ほんの少しであったがレイアに対し情が移ったことを意味していた。ジェイにとって飛竜は、単に己の歪んだ欲望を満たすためだけの「道具」でなくてはならなかった。そこでは情などというものは混じってはならない不純物である――はずなのだ。
 だが、あの桜火竜は、そんなジェイの信念を揺るがした――その理由は分かっていた。
 あの蒼い瞳。
 彼が飛竜にしか欲情しなくなってしまったのは、ある女性のせいだった。今でもジェイは、彼女を鮮明に思い出すことが出来る。それと同時に様々な痴態も……。
 レイアの瞳と彼女の瞳は、良く似ていた。無意識の内に重ね合わせてしまったのだろう。だからあの時、普段ならまず有り得ない、感傷めいた心地になってしまったのだ。
 
 今、あのレイアはどうしているのか。変態資産家の捩れた性欲を受け止めている最中なのか。それとも束の間の休息を与えられているのか――自分が、堕ちた桜火竜の身を憂おうとしているのに気が付き、ジェイは軽く頭を振った。
 堕とした張本人が、その相手を憂う資格などあろうはずがなかった。
 ジェイはエール酒を一気に呷った――今晩のエール酒は、いつになく苦かった。

                                                     -了-

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