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はじまりのエピタフ1

皆さん、ご機嫌いかがですか~? 最近の暑さときたら、おもわず、


『あーん? 暑すぎんじゃねーか。

……なるほど SUMMER じゃねーの(笑)』

とか、読んだこともないテニプリネタを言いたくなってしまうほどの暑さですねw

さて、文字に耽溺したいと言いながら、すっかり縛り武神に耽溺してしまっていた私。
以前から書きたいと思っていた話が何とかまとまって来たので、公開させていただきたいと思います。公式でない設定や名称などが多発しておりますが、そのあたりは平にご容赦をw

長いので追記の方に入れました。

タイトルは 【はじまりのエピタフ】です。

よろしければご笑納下さい。





はじまりのエピタフ


 
 
 ヴァレリー・マグノリアスは足を止めて、軽く息をついた。
 アイス・ブルーの瞳に映るのは、灰を含んだ雲で鈍色に煙る空と、岩石ばかりが転がる無愛想な大地であり、緑を茂らす草木や川のせせらぎなどはまるでない。
 
 火山地帯――この地は生命を育む慈愛に満ちた場所ではなく、立ち入る者の命を吸い取る過酷な場所だ。膨大な地熱から生み出される暑さが容赦なく襲いかかり、クーラードリンク等で涼を取らなければ、人間などたちどころに動けなくなってしまうだろう。

 更にショウグンギザミやグラビモスなどの凶悪なモンスター達が生息しているという、危険極まりないおまけまでついている。どちらのモンスターも、火山という厳しい環境に適応しているだけあって嫌らしいまでの頑強さを誇っており、手練れのモンスターハンター達にとっても非常に厄介な相手である。
 
 狩猟場として、また良質な鉱石の採取場所として開放されている火山地帯ではあるが、絶え間ない暑さに加えて手強いモンスターが住まうという劣悪な環境ゆえ、とかく敬遠されがちな場所であった。

「少し休むか……」
 ヴァレリーはそう呟くと、背負っていたバックパックと盾を下ろした。バックパックはイャンクックの皮を使った特注品で、通常の布等で作られた物よりも強度に優れている。鉱石類を詰め込んでもそう簡単に破けたりはしない。
 
 そして、バックパックと共に背中から下ろした盾であるが、これが少々変わっていた。
 黒鎧竜とも呼ばれるグラビモス亜種の外殻を引き剥がし、そのまま持ってきたような無骨な外見をしていた。更に特筆すべきはその大きさで、身を屈めれば、大人でも全身すっぽりと覆えそうな程の巨大さである。

 また装備の方も一式物では揃えておらず、少々変わっている。
 頭部はクロオビXヘルム。胴体部はスティールUメイルで、腕部はグラビドXアーム。腰にはバトルUフォールドを着け、脚部はザザミUグリーブで覆われている。およそ統一性や見てくれに配慮されていない組み合わせであるが、見る者が見れば、一見無秩序なこの防具が「珠」と呼ばれる特殊な装飾品で性能を底上げされ、ガード系統の能力に特化していることに気がつくであろう。

 ヴァレリーは両腕を上へ伸ばし、手の平を空へ向けるようにして組んだ。軽く伸びをして体を解す。鍛え抜かれた褐色の肉体には、数多の傷があった。その中には、巨大な爪で抉られたような痕を残しているものもあり、いかに彼が苛烈な狩猟をしてきたかを如実に物語っている。
 
 体を解し終わると、ヴァレリーは手近にあった手ごろな大きさの石へ腰を下ろした。すると、丁度冷却効果が切れたらしく、全身から汗が噴き出るのが分かった。軽く眉根を寄せつつ、腰に付けた小型のポーチから、親指大の透き通った塊を取り出す。内に熱帯イチゴを閉じ込めたその塊は、「氷結晶イチゴ」の名で呼ばれる納涼アイテムである。見た目の可憐さから、ハンターの道具としてだけでなく、一般の人々にも暑さしのぎとして人気があった。

 オクチで溶けて手に溶けない――などと言われて売られている氷結晶イチゴであるが、その触れ込み通り、不思議なことに手の上や常温、高温下では溶けないが、口に入れると何故か溶け始める。人間の口腔内に含まれる細菌がそのメカニズムに関係しているらしいが、詳しくは明かされていない。

 氷結晶イチゴを口に放り込み、ひんやりとした感触が染み渡ってゆくのを感じながら、ヴァレリーは視線を周囲に巡らせる。どこまで見渡しても、あるのは黒みを帯びた岩石達ばかりである。
 まるでモノクロームのような世界。不必要な煩雑さがばっさりと切り落とされた単純な世界――普通の人間には寂寥感しか沸いてこないであろう景観。だが、今のヴァレリーにはこの火山地帯が心地好かった。

 ここは十年先も二十年先も変わらないのだろう。いや、おそらく俺の寿命が尽きて後、百年や二百年経った後も変わらないに違いない――。

 時と訣別したかのような場所。いつまでも同じ表情を浮かべ続ける地。その在りように、ヴァレリーは心惹かれずにはいられない。この荒涼とした無表情な地に、安寧にも似た思いを抱くようになったのはいつからか……いや、答えを探る間でもない。あの時からだ――。

「埒もない……」
 沈み切った表情を浮かべて立ち上がる。すでに汗は引いていた。バックパックと盾を背負い、再び歩き出す。

 分かっている。
 知っている。
 詮のないことだと。
 
 人の身である以上、変わり続けてゆくのは仕方のないことであり、肉体は無論のこと、心や記憶も一所に留まり続けることは叶わない。生きている者は急き立てられるように時の存在に歩かされ、様々なものを、望むと望むまいと変えてゆく運命なのだ。

 
 

 グレートピッケルを大きく振りかぶって岩壁へ振り下ろす――カシンッ、というひび割れるような音がして、一塊の石が岩壁から剥がれ落ちた。その石を拾い上げて剥がれた面へ目をやると、真紅の塊がめり込んでいるのが見て取れる――紅蓮石と呼ばれるめったに出ない貴重な石だ。その紅蓮石入りの石片を、ヴァレリーは傍らに置いてあったバックパックの中へ静かに納めた。

 軽い驚きを禁じえない。すでに五個目の紅蓮石だったからだ。今までこれだけ連続して紅蓮石が採掘出来たことは記憶になかった。他にも、カブレライト鉱石やエルトライト鉱石などもごろごろと出てきている。
 
 額に玉のような汗が浮いている。手拭でその汗を取りながら天を仰ぐ――だが、そこに空はなく、代わりに岩で出来た天井が遥か高みに見える。
 
 溶岩洞――現在ヴァレリーがいるのは、遠い昔、火口から流出した溶岩によって作り上げられた巨大な洞窟である。あちらこちらに夕日のような色をした溶岩の川が幾つもうねり、それが洞窟内の光源になっている。また、所々に出来た地面の割れ目からは高温のガスが、耳をつんざくような音を伴って噴出している。心身ともに鍛え上げられたハンターでなければ、あたかもこの世ではないような風景に、たちまち気が滅入ってしまうに違いない。
 
 目の前の岩壁に視線を向けながら、ヴァレリーは大きく息をついた。ここは大当たりだった。こんなに優秀な鉱脈は今までにお目に掛かったことがない。この溶岩洞には何度も足を運んでいるので、鉱脈が露出した場所をヴァレリーは何箇所も知っている。常ならば既知の鉱脈のどれかに足を運んで採掘を行うのだが、今回は運良く新しい鉱脈を見つけたので、そこを掘っているのである。
 
 ここの岩壁は、今まで溶岩と激しいガスの噴出によって取り付く事が出来なかったのだ。だが火山の気紛れなのか、今日訪れた所、溶岩の川がなくなりガスの噴出も止まっていた。調べてみると太い鉱脈があるのが分かったのでピッケルを入れてみたところ――希少価値の高い鉱石達が豊富に眠る鉱床だったという訳だ。
 
 さて、もうひと掘り、とグレートピッケルを振りかぶろうとした刹那、全身の毛穴からどっと汗が噴き出すのが分かった。どうやら氷結晶イチゴの効果が切れてしまったらしい。ヴァレリーはひとまずピッケルを置き、ポーチから透明な塊を取り出して口に含む。

 氷結晶イチゴが溶けてなくなると、今度は水筒を取り出して呷った。氷結晶イチゴは溶岩洞内の尋常ではない暑ささえも緩和してくれるが、流石に汗までをも完全に止めるという具合にはいかない。定期的に水分を補給しなくては、動けなくなってしまう。

 水を飲み終えると、ヴァレリーは再び採掘を始めた。溶岩洞の壁は見た目に反して案外と脆い。ピッケルを入れる度、手ごろな大きさの石が剥がれ落ちる。
 十数度ピッケルを打ち込んだ頃だろうか。カンッ、という乾いた音がしてシャフトを握る両手が軽く痺れた。何か硬質な塊に当たったような感触だった。

「……?」
 ついぞ感じたことのない異様な手ごたえに、ヴァレリーはピッケルを下ろした。今しがた穴を穿った場所を覗き込むが、よく分からないので穴を広げることにする。シャフトを短く握り、手ごたえがあった辺りの岩壁を丁寧に崩すが、塊のような物は結構な大きさがあるらしく、おいそれと全容を現さない。

 胸騒ぎにも似た心のざわめきを感じながら、ヴァレリーは黙々と手を動かす。壁を崩し始めてから小半時ほどした所で、ようやくその塊は全体像を見せた。
それは板状をしており、大きさは一抱えほどもあった。錆びや溶岩石に覆われていて表面がどのようになっているのかはまったく見えないが、全体の形状が明らかに天然のものではないことを物語っている。

「まさか」
 思わずヴァレリーは呟いていた。
「ロスト・アームズか……?」
 極まれに古い地層や鉱脈などから古びた武具が出土することがある。それらはロスト・アームズ――失われた武具――と総称される。風化していたり錆び付いていたりしていることがほとんどなので、そのままではとても使えたものではないが、職人達の手に掛かれば、永き眠りから覚めて強力な武具として甦る。

 ロスト・アームズと言えば、
「凍てつく翼」の異名を持つ大剣「ダオラ=ディグリペグ」。
「息吹く鉄塊」と呼ばれ、核の部分が生物的な脈動を繰り返すハンマー「パルクルス・コア」。
伝説の黒龍をも屈服させたという「龍堕としの番」こと双剣「封龍剣・真絶一門」。
 などが有名どころで、大陸中に名が轟いている。ハンターを生業としている者で、これらの存在を知らない者はいない、と言ってもよいくらいである。

 復活したロスト・アームズはどれもが強大な力を携えており、ハンター達にとって憧れの的であるのは勿論だが、考古学者や商人などといった人間達も喉から手が出るほど欲しがる。武具としての価値だけでなく、考古学的なサンプルとして、また売買によって莫大な富をもたらす商品としても計り知れない価値があるからだ。

 ヴァレリーはその塊を岩壁からゆっくりと剥がし、抱えるようにして持った。
 ずっしりと重い。そして、この大きさ。形状。厚み――柄の部分こそないが、大剣、もしくはそれに類するような武具であることが窺える。兎にも角にも、途方もない宝を見つけたことには違いない。

だが、ヴァレリーの表情は硬かった。

普通のハンターであれば、ロスト・アームズを掘り当てたとなれば欣喜雀躍するところだ。否。以前のヴァレリーであれば、同じく喜びの虜となっていただろう。だが、今のヴァレリーはそうではない。明るさは微塵もなく、表情は翳っていた。
 
 ロスト・アームズには、一つの言い伝えがある。その言い伝えとは、
『所有するに相応しい者に掘り出される』
 というものである。不思議なことに、武具を武具として使わない者――例えば考古学者や商人達の中にも、血眼になってロスト・アームズを探す者が少なくないが、そういった者達が掘り当てた例は一度もない。仕えるべき主は自分で決める――ロスト・アームズ達は、あたかもそう言っているようだ。
 
 この言い伝えが、ロスト・アームズに巡り合ったハンター達に尋常でない喜びを与える。強力な武具を手に入れた幸運だけでなく、その使い手に選ばれたという栄誉までをも与えるからだ。

 だが、とヴァレリーは思う。
 
 今の自分には使うことが出来ない。
 
 ……これは、ここへ残してゆこう。
 ヴァレリーはそう決断した。そのうち他の誰かが見つけて連れてゆくだろう。そして、職人達の手によって悠久の眠りから覚め、何処かのハンターの頼もしい相棒として狩猟場へ赴くに違いない。
 
 それで、いい――。

 胸中でそう呟き、塊を静かに地面へと置いた時だった。左手の方から、ギシギシという何かが軋むような音が聞こえてきた。この音は――。
「ギザミか」
 音の方へ視線を向けると、ショウグンギザミの姿が見えた。巨大な巻貝のような殻を背負い、六本の脚を持つ蟹のような化物。鎌のような両腕――第一脚というべきか――を大きく左右へ広げつつ、四本の脚を忙しなく前後に動かして移動している。こちらへ向かってきてはいないので、ヴァレリーに気付いた訳ではないようだ。
 
 気取られては面倒なので、近くにあった岩の陰に素早く身を隠す。少しだけ顔を覗かせて様子を覗う。そこでヴァレリーは、ショウグンギザミの前を走る小さな影に気が付いた。
「……アイルーか」
 全身を柔らかい毛に覆われた獣人族、アイルー。彼らは人など及びも付かない俊敏さと、見た目からは想像も付かない程の腕力を備えている。又、人語を解するほどの知能も有していて、人間社会の中に出稼ぎにくる者も存在する。
 
 どうやらショウグンギザミに追われているようだが、少し様子がおかしいことにヴァレリーは気が付いた。
 普段アイルー達は二足歩行と四足歩行綯い交ぜで移動することが多いが、急を要する時には漏れなく四足歩行となる。しかしあのアイルーは、ショウグンギザミに追われるという命に係わる緊急事態だというのに、速度の遅い二足歩行で逃げているのだ。
 
 ヴァレリーは腰に吊るしてあった双眼鏡を手に取って、ショウグンギザミとアイルーの方へと向けた。そして接眼レンズを覗き込み――驚愕する。
「まさか……ジャック!?」
 そこに映っていたのは、以前ヴァレリーの家にいたアイルーだった。本来、人間のヴァレリーが種族の違うアイルーを識別するのは非常に難しいことなのだが――右目に黒い眼帯をし、頭を覆うように赤いバンダナを巻いたアイルーなど他にいるものではない。間違いなくヴァレリーの知るジャックだった。
 
 同時に何故四足で逃げないのか、その理由にヴァレリーは思い当たった。
「あいつ……」
 胸が締め付けられる。考えるより先に体が動いていた。岩陰から飛び出し、置いてあった盾を拾って走り出す。走りつつ、ポーチから強走薬グレートを取り出して一気に呷った。ゲリョスから取れる狂走エキスの効果で、体の深奥から熱いたぎりが生じ、手足の先まで染み渡る。全力疾走でどこまでも走ってゆけそうな奇妙な気分に包まれながら、ヴァレリーはジャックの許へと急いだ。




 ショウグンギザミの巨大な鎌が、空気を切り裂きながら振り下ろされる――転がるようにしてジャックはその一撃を辛くもかわす。毒々しい青に染まった鋭い鎌が、一瞬前までジャックのいた地面へ突き刺さった。もしあの鎌が自分の体に振り下ろされていたら――耐え難い恐怖に背中を撫でられ、ジャックの全身を覆う白い毛が逆立つ。
 
 鎌の持ち主と目が合う。何の感情も宿さない無機質な黒い目。当たり前のことだが、ショウグンギザミはジャックのことを餌としてしか見ていない。当然だ。不毛な火山地帯に暮らすショウグンギザミにとっては、アイルーなど栄養源以上の意味はない。
 
 ともすれば、恐怖で動けなくなりそうな自分を頭の中で励まして、ジャックは身を起こした。幸いショウグンギザミは地面から鎌を抜くのに手間取っている。余りにも鎌の先端が鋭利過ぎて、深く突き刺さりすぎてしまったようだ。
 
 早く逃げなくては。ジャックは地面に前足を付いて、素早く移動が出来る四足歩行で逃げようとした――その瞬間、頭の中で快活な女性の声が甦る。


『ようこそジャック。今日からキミは家族だよ』


 ぶんぶんとジャックは首を振り、本能に逆らうように前足を地面から引き剥がして、再び二足歩行で逃げ出した
 ――この走り方では逃げ切れないかも知れない。死んでしまうかも知れない。それでも……。
 
 ショウグンギザミの鎌が地面から抜かれる音を、ジャックは背中で聞いた。
 振り向かなくても分かっている。奴が全力で追いかけてくることは。あらん限りの力を振り絞って走った。だが、恐怖のためか、足がもつれて地面へうつ伏せに転んでしまう。
 
 ヒュンッ、という空気を裂く音と共に頭上を何かが通り過ぎた。ショウグンギザミの鎌が、横薙ぎに振るわれたのだ。転んだのは僥倖だった。そのまま走っていれば、上半身と下半身が離れ離れになっていただろう。
 ジャックは、うつ伏せに倒れこんだ身をひねって起き上がった。だが、起き上がった拍子に、間近に迫ったショウグンギザミの姿が見えてしまう。圧倒的な大きさと不気味さ――威圧され、体が言うことを利かない。

 ショウグンギザミの方もそれを分かっているのか、慌てずに近寄ってくる。そして、ジャックのすぐ手前までくると、獲物を追い詰めて歓喜しているか、両方の鎌を高々と掲げ、キシャキシャと耳障りな音を立てながら体を上下させた。
 ジャックは怖気をふるった。ダラダラと大量の唾液を漏らす、何ともおぞましい口元が見えたからだ。やがてあそこへ運ばれて咀嚼される……。

 ショウグンギザミが軽く体を斜にする。鎌を振るうための予備動作だった。
 もう逃げられない。命運尽きたと、ジャックは左目を閉じた。

――ミユサさんのところに、ボクもいくニャ……。

 ジャックが心の中でそう呟くのと同時に、ショウグンギザミの鎌が振るわれ――バキンッ、という、金属と岩がぶつかり合うような音が轟いた。

――ああ、しぬ時ってすごい音がするんだニャ……。
 
 ジャックはそんなことを頭の中で思う。それにしても……ぜんぜん痛くない。というか、生きてる時と変わらない――奇妙に思い、閉じていた左目をそっと開けてみた。どこにも痛みはない。どうしてかは分からないが、取り敢えず生きてはいるようだ。

「な、なんだニャ?」
 目に飛び込んできた光景に、思わずそんな声を上げてしまう。いつの間にか、自分とショウグンギザミの間に、一人の人間が背を向けて立っていた。格好から察するに、男性のハンターのようだった。

 男は黒い盾を持っていた――その盾は、人が持つにしてはあまりに巨大だった。巨大で分厚く重そうで、あたかも黒鎧竜の外殻を引き剥がして、そのまま持ってきたかのようだった。その無骨な盾で、ショウグンギザミの鎌を受け止めていた。

「平気か……?」
 鎌を受けとめたまま、男が静かに言った。
「ま、まさか……そんニャ……」
 ジャックは信じられない、とでも言うかのように首を振った。
「ヴァレリーさん……? ほんとうに、ヴァレリーさん!?」
 声が震える。かつて、家族として一緒に暮らしていた人。数え切れない程の獰猛な飛竜達と戦い、それらを屈服させてきた凄腕のハンター。
 
 ジャックの前に立っているのは、まぎれもなくヴァレリー・マグノリアス、その人だった。

【続く】

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No title

キリロクブ(様)、はじまったな――というのが、第一印象です。

堪能させていただきました。ついでに、アクロトモフィリアっぽいネタを書こうとして、
さすがに読者を選ぶかな……などと、躊躇っていた自分が恥ずかしくもあります。

第一話を拝見したかぎりでは、重い話なのか、いつもの(←失礼)流れになるのか
見えてこないのですけれど、続きを楽しみにさせていただきます♪

欠損してたっていいじゃない。だって萌えなんだもの。 ――み●を

No title

こんにちは、カンダタです。

今回は何時もとは少し趣が違う始まり方ですね。この先どうなるか続きを楽しみにしています。

自分もエオラの続きを早く執筆せねばなりませんね。お体に気をつけて執筆活動頑張ってください。

楼蘭さんへ

いらっしゃいませ~楼蘭さん。お返事が遅くなってしまって申し訳ありません。

>アクロトモフィリアっぽいネタを書こうとして、
>さすがに読者を選ぶかな……などと、躊躇っていた自分が恥ずかしくもあります。
私は是非読みたいであります。モンハンもの(ですよね?)とアクロトモフィリアは意外とマッチするのではないかと個人的には思います。とても楽しみです。遠慮なくやってくださいw 

>第一話を拝見したかぎりでは、重い話なのか、いつもの(←失礼)流れになるのか
今回はいつもの流れにはなりません。しませんw 実は濡れ場も入れるか入れないか思案中です。まあ、自分のことなんで多分入れると思いますが。

では、また~。

カンダタさんへ

いらっしゃいませ~カンダタさん。すみません。お返事が遅れてしまって。


>今回は何時もとは少し趣が違う始まり方ですね。
はい。自分でもそう思いますw


>自分もエオラの続きを早く執筆せねばなりませんね。お体に気をつけて執筆活動頑張ってください。
エオラ待ってるよ~。体を気遣っていただいた矢先、見事に風邪を引いてしまい、でも色々と予定が詰まっていたので、無理やり1日で治しましたw カンダタさんもお体にはお気をつけてくださいね。


では、また~。

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キリロクブ

Author:キリロクブ

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