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ダス・フェアローレネ・パラディース1

ダス・フェアローレネ・パラディース

「ふんっ!!」
 裂帛の声とともに、ジェイは愛銃槍「D・V・P」を突き上げた。ガンチャリオットをベースに独自の改造を施されたガンランスの切っ先が、桜火竜の側頭部を捕らえる。
 がつん、という手ごたえを感じるのと同時に、ジェイは左手首を内側へ捻った。カチリ、という音とともに、握り締めたグリップが半回転し、銃身の先端で圧倒的な熱量を持つ爆発が起こり、桜火竜の頭部へ追い討ちをかける。
 
 砲撃――ガンランス最大の特徴である、火薬と弾を使った攻撃だ。
 ジェイが更に二度、手首を捻って砲撃を叩き込むと、脳震盪を起した桜火竜は、か細い声を上げながら昏倒した。
 丘の上での丸二日を費やした戦いがやっとのことで終わり、ジェイは大きく息をつく。
 地に身を横たえる桜火竜に視線をやりながら、つい先日訪れた糜爛亭でのことをジェイは思い出した。
 

 糜爛亭という最低な店がある。
 ジェイがハンター生活の拠点を置いている街の片隅で、人目を忍ぶかのようにして営まれており、営業時間は日の入りから日の出までという店である。構えは薄汚れていて、どう見ても左前といった態なのだが、いつまでも潰れずにしぶとく残っている。
 頼みたいことがある、と店の主人に乞われ、ジェイは店に足を運んだ。
 
 鉄の分厚い扉を押し開けて店内に入ると、店の主人であるバズが下半身むき出しという珍妙な格好で出迎えた。幸いなことに、モスのように肥大した下腹のお陰でジェイの目にバズの陰茎が映ることはなかった。

「よおっ、ジェイ」
「お前、そんな格好を見せるために俺を呼んだのか?」
 ジェイがそう訊ねると、バズは心外そうな顔をする。
「まさか。そんな変態的嗜好はない」
「真性の変態がよく言う」
 ジェイのその言葉に、バズは取り合わず、
「新商品の開発中なのさ」
 と言い、傍らにあるテーブルの方へ顎をしゃくってみせた。
 
 ジェイがテーブルを見ると、そこには磔にされたフルフルの幼生がいた。両翼と尻尾に大振りな釘を打たれ、首は馬蹄型の金具で抑えつけられていて、顔がテーブルの縁にくるように固定されている。更に頭部には、怪しげな青と赤と黄の管が差し込まれていた。
それぞれの管の先には握りがついており、その先端には押しボタンのようなものが取り付けられていた。

 きゅう。

 フルフルが小さな声を上げた。
「可愛いねぇ、フルフルの幼生は」
 バズはそう言うと青い管の握りを掴み、ボタンを押した。するとフルフルがほわぁぁと弱々しく鳴き、口を大きく開けた。その口腔内には歯が一本もない。
 
 この時点で、バズが何をするつもりなのかジェイには見当がついた。
「すべて抜歯済みさ。噛み切られちゃかなわねーからな」
 ニヤニヤしながらバズが言う。続いて黄の管を手にしてボタンを押すと、フルフルはきゅっと鳴きながら口をすぼめた。

「少しだけこいつのオツムに細工をしてね。お手元操作が可能なのさ。どうだいイカスだろう?」
 やや虚ろな目でバズは言うと、右手で肉に埋もれた陰茎を引っ張り出した。いつの間にか勃起していた一物に、手早く絶縁処理を施したサックを被せる。
「コレつけねーと、本当に逝っちまう恐れがあるからな」
 
 バズは青い管のボタンを押してフルフルの口を開かせると、御世辞にも立派とは言いかねる男性自身を捻じ込んだ。そして右手に青、左手に黄色の管を持ち、交互にボタンを押し始めた。
それに合わせてフルフルの口が開いたり結んだりを繰り返し、バズの男性自身を刺激する。
「おおおう……いい具合だぁ。女なんか目じゃねえ」
 
 天井を仰ぎ、口の端からヨダレを垂らしながら、恍惚とした口調でバズは言った。テーブルの上では、フルフルが苦しそうにジタバタと身を揺すっている。やがてバズは青の管を置いて、赤の管に持ち替える。バズが赤の管のボタンを押した瞬間、フルフルの身体がうっすらと電気を帯びた。
「あ、あはははあああー、し、しびれるぅー!!」
 
 白目を剥きながら、バズが歓喜の声を上げた。だが、徐々にバズの様子がおかしくなってきた。
全身がビクビクと痙攣を始め、いつの間にか管は手から離れていた。フルフルの身体の表面を走る
電気の量が、先刻より明らかに多くなっている。
「ら、らめぇ、しむ! 本当に、逝っちゃぶ! どーにかしてジェイ!」
 
 助けを請うバズの絶叫が店内に響き渡る。ジェイは軽く舌打ちすると、バズの脇腹辺りに蹴りを
入れる。肥満した身体がテーブルから離れ、床に転がった。
 おぇ。
 フルフルがえづくように身を揺すった。
「あー、やばかったぜ。本当に逝っちまうトコだった」
 
 胡坐をかきながら、バズが大きく息をついた。
「やれやれ。どうやら放電の調節が甘かったようだ――ところで、完成したら『しびれフル』って
商品名で売り出そうと思うんだが。お前も試してみる?」
 バズはそう言ってニヤニヤと笑った。
 
 モンスターを性具として販売する店――それが糜爛亭である。世の中には人間の女では性的興奮を得られず、人外のものへとその衝動を向ける厄介な御仁達が、少なからず存在する。そういったマイ
ノリティ達が、この最低な店を支えているのだ。
 ジェイはゆるゆると首を横に振った。

「いや。遠慮しておく。それより頼みたいこととは?」
「気持ちいいのに。まあ、いいか。いやね、お前に桜火竜を納品して貰いたくてさ」
 八百屋で野菜を買ってきてくれ、とでも言うような軽い口調でバズは言った。

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